数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。
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『海外M&Aを成功に導くPMIの進め方』 青嶋 稔著、中央経済社 刊
海外M&Aには“誤算”がつきものだ。失敗の事例は枚挙にいとまがない。数年前、7000億円を投じた米原発企業ウエスチングハウス(WH)の大型買収が暗転し、東芝の経営の屋台骨を揺るがせたことは記憶に新しい。
本書のタイトルにある「PMI」とはM&A後の統合プロセスのこと。具体的には、業務や人事、経理のルール、情報システムなどの融合や工場・拠点の再編などを指す。日本企業同士でもPMIのハードルは高いが、海外企業の買収の場合、言語や文化などの違いから、なおさら困難を極めていることは想像に難くない。

PMIにおける日本企業の問題点として著者がまず指摘するのは買収推進体制の不備。統合前と統合後の一貫性が重要であるにもかかわらず、本社中心で買収を実現し、その後のPMIについては海外現地法人任せというケースが少なく、そのほとんどは失敗しているという。
ではどうすべきか。統合プロジェクトに参加したコアメンバーが被買収企業の経営層や経理、マーケティング、技術などの重要部門の責任者に就くことでオーナーシップをもってPMIを進めることが可能になるという
PMIを進めるうえでの基本的なプロセスは①戦略統合、②業務統合、③モニタリング(統合状況の確認)で構成し、次に機能統合のプロセスとして①販売・マーケティング、②SCM(サプライチェーンマネジメント)、③製品開発・ものづくり、④人材基盤・組織・ガバナンスがある。著者は各プロセスで達成すべき「ゴール」、解決すべき「課題」、解決方法を指し示す。
例えば、①の戦略統合プロセス。ここで最も重要なことは事業戦略に対する買収企業・被買収企業の経営者間の納得感の醸成。日本企業は中期経営計画を説明することで、戦略を共有していると考えがちだが、被買収企業の経営陣にとっては単に決まった数字目標を割り振りされているに過ぎず、それは戦略ではないというのだ。
興味深いのは新興国PMIにページを割いている点。アジアに限らず新興国では欧米先進国のノウハウをそのまま使えないことが多い。家族経営が主体であることから意思決定が不透明で俗人的であったりするからだ。
著者は精密機器メーカーに16年勤務し、現在は野村総合研究所に在籍。海外M&Aを経験した多くの企業経営者にヒアリングしている。PMIのツボを実践的に解説した一冊といえる。(2019年10月発売)
文:M&A Online編集部
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