「まんが」が小説を飲み込んだ まんが王国ビーグリーとは
まんがが小説を飲み込んだ。スマホ向けコミック配信サービス「まんが王国」を運営するビーグリーが、小説投稿サービス「ノベルバ」を展開するノベルバを完全子会社化した。
公開中に早くも世界興行収入が4億7250万ドル(約520億円)を突破し、記録的なヒット映画となった「ボヘミアン・ラプソディー」。伝説のロックバンド「クイーン」のリードボーカルだったフレディ・マーキュリー(1946-1991年)の、1970年のデビューから1985年に開催されたアフリカ救済のチャリティコンサート「ライヴエイド」までの15年間を描いた伝記映画だ。
実はこのフレディ、インド最大の財閥と関係がある。日本でもよく知られているタタ財閥だ。タタといえば2009年に10万ルピー(約28万円)カーの「ナノ」を発売した自動車メーカーとして知られているが、自動車以外にも製鉄やIT、電力など100社以上で構成される巨大企業グループ。

タタグループは積極的なM&Aでも知られる。タタ・スチールは2007年に粗鋼生産量世界8位のコーラス社を買収して、世界5位の鉄鋼メーカーに飛躍。2008年には「ナノ」を手がけたタタ自動車が米フォード・モーターから英高級車ブランドの「ジャガー」と「ランドローバー」ブランドを23億ドルで買収した。
フレディとの「共通点」は、同財閥のオーナーであるタタ家の出自にある。映画の冒頭でフレディが敬虔なゾロアスター教徒の父親と対立するシーンがある。フレディの両親は「パールシー」と呼ばれるペルシャ系インド人だ。
パールシーは宗教で結びつけられた集団で、父がフレディーに口うるさく言う「善き考え(善思)、善き言葉(善語)、善き行動(善行)」は、ゾロアスター教の信者が生涯を通じて実践を求められる「三徳」を指す。
タタ家もフレディと同じパールシーの一族だ。パールシーは日常生活での「三徳」を重視し、タタ家も企業経営にゾロアスター教的な倫理観を持ち込んだ。そのため企業倫理に厳しく、「インド企業では当たり前」といわれている汚職を排除。ヒンズー教徒が定めたカースト制度とも無縁で、出自を問わず優秀な人材を抜擢する実力主義の登用をしている。
労働者の待遇改善にも積極的で、タタ・スチールでは1912年の設立時に8時間労働制だったほか、1915年には従業員の無料治療制度、1920年には有給休暇制度や事故補償制度などを導入している。教育、健康、コミュニティー支援などの社会貢献活動にも積極的でインド国民からの人気は高く、過激な左翼ゲリラでさえタタへの攻撃は避けたという。
映画の終盤で伝説の舞台となった「ライヴエイド」の会場に向かうフレディが、対立してきた父親にライブの出演者は誰もギャラを受け取らないと告げて「善き考え、善き言葉、善き行動だよ」と語りかけ、抱き合って和解するシーンがある。
フレディがたどりついたパールシーのアイデンティティーと倫理観が、タタをインド最大の財閥に育て上げたといえる。残り1カ月余りとなった2018年も日産自動車のカルロス・ゴーン前会長の「報酬隠し」スキャンダルなど、企業の不祥事が相次いだ。
映画「ボヘミアン・ラプソディー」を観て、フレディやタタ財閥が重んじた「善き考え、善き言葉、善き行動」の大切さをかみしめたい。「Too late, my time has come(もう遅すぎる、私の最期が訪れた)」となる前に。

文:M&A Online編集部

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