数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。
「永守流 経営とお金の原則」 永守重信著、日本経済新聞出版刊
経営やマネジメントの指南書は世の中に溢れているが、どんな一冊もこの人の前では説得力を欠くと言わざるを得ない。
著者は日本電産会長・創業者の永守重信さん。同社を日本有数のグローバル企業に導き、当代きっての経営者として真っ先に名前が挙がる一人だ。折り紙付きの実績を持つ本人自ら経営の基本原則、実践的な知識・ノウハウを伝授する。

日本電産は1973(昭和48)年、当時28歳の永守さんが自宅納屋を改造して総勢4人でモーター製造のベンチャー企業としてスタートした。ゼロからの出発だったが、今では世界40数カ国・地域に展開し、グループ従業員は11万人を超える。売上高は1兆8000億円(2022年3月期見込み)、2030年度には10兆円を目標に掲げる。
創業当初、ベンチャー企業は資金繰りに苦しむ常で、日本電産も倒産の危機をくぐりぬけてきた。ではどうやって生き残り、今日の成長・飛躍につなげたのか。
その土台をなすのがお金まわりの戦略、つまり財務戦略だと言い切る。資金調達、金融機関との付き合い方、危ない取引先の見極め方、バランスシート(貸借対照表)、キャッシュを意識した経営…。キャッシュに余裕があれば、どんなに赤字を出しても会社をつぶすことはない。
自身の経験から、財務をおろそかにしては、とても成功はおぼつかないと訴える。本人は正真正銘の技術者社長だが、失敗や物事が起こるたびに自分なりの財務の原則を打ち立ててきたという。
「67勝0敗」。日本電産は積極的なM&A戦略で知られるが、これまで国内外で手がけた67社のM&Aはすべて成功し、失敗はゼロを意味する。買収した会社を再建できず破綻させてしまったり、のれん代の減損処理に追い込まれたりしたことは一度もないというのだ。
ここでも永守流が本領を発揮している。成功の3条件とするのが「高い価格で買わない」「ポリシー(政策・方針)」「シナジー(相乗効果)」。永守さんの頭の中では2030年度の売上高10兆円に向けて、買うべき会社はすでに決まっているという。
単に規模を追うのではなく、常に理想とする事業ポートフォリオがあり、その完成図に近づけるために、ジグソーパズルのピースを埋めていくように会社を買うことを原則とする。
本書には50年に及ぶ経営者人生のエッセンスが詰め込まれている。一連の「永守節」が現役の経営者はもとより、一般のビジネスパーソンや、これから起業を目指す若い人たちに刺さるのは間違いない。(2022年1月発売)。
文:M&A Online編集部
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2021年に出版されたM&A関連や事業承継をテーマにした本をすべて紹介します。
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「事業承継を検討している経営者が法務、税務の観点から最適解を発見できることを目的にまとめられたのが本書。同時に税理士や金融機関、コンサルティング会社の担当者らにも参考になるように仕上げてある。
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著者は後継者のいない中小企業の社長が、会社を第三者に売却することによって、自身や家族、社員、取引先などを幸せにする行為を「会社エグジット」と呼び、会社売却が事業承継のベストチョイスであると主張する。