ストライク<6196>は8月21日、横浜市のスタートアップ成長支援拠点「YOXO BOX(よくぞボックス)」で、スタートアップと事業会社の提携促進を目的としたイベント「第27回 Conference of S venture Lab.」を開いた。オンラインを含めて110人以上が参加し、「事業拡大のための方法論としてのマイノリティ出資とM&A」をテーマにしたトークセッションやスタートアップ4社によるピッチ、名刺交換会などで交流を深めた。
トークセッションでは、横浜に本社を置くプラントエンジニアリング国内最大手の日揮ホールディングス<1963>の国内事業会社である日揮で経営企画、事業開発を担当する未来戦略室マネージャー兼日揮みらい投資事業有限責任組合フロントチームリーダーを務める坂本惇氏と、横浜・沖縄・京都に拠点を置くプレシード特化型ベンチャーキャピタル(VC)Lifetime Venturesの代表パートナー木村亮介氏が登壇。オープンイノベーションの方法論としてのマイノリティ出資やM&Aについて議論した。

冒頭で坂本氏が日揮のオープンイノベーションの取り組みと同社のコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)である「日揮みらいファンド」の活動を紹介。坂本氏は「日揮はエンジニアリング事業を中心にオーガニックな成長を続けてきたが、脱炭素化の流れもあり日揮の主力事業である石油・ガス関連事業への影響が懸念されるようになった。そこで日揮みらいファンドを立ち上げ、スタートアップの先端技術やサービスを取り込むオープンイノベーションで事業変革を加速させることを目指した」と説明した。
同社は投資によるリターンではなく、スタートアップ投資を通じて日揮グループの事業変革を促すことを目的としている。「投資先との共同開発や事業連携、ジョイントベンチャーの設立といった戦略的なシナジー創出を重視する」(坂本氏)という。
VCとCVCは有望なスタートアップを巡って競合するケースもあるが、木村氏は「わが社はプレシードに特化したVCなので、レイターステージに出資するCVCと競合しない。日本のイノベーションは、かつてのソフトウエア中心のITから、リアルなディープテック(最先端の研究成果)へシフトしている。CVCの母体である事業会社に認めてもらわないと、工場も建てられない。CVCとの連携は重要だ」としている。
坂本氏と木村氏はスタートアップのマイノリティ出資とM&Aを成功させるには、投資先に対するリスペクトが重要だとの意見で一致した。坂本氏は「最初からM&Aありきではなく、マイノリティ出資でお互いにとってWin-Winの関係が確認できてからその先に進む。起業家の世の中を良くしたいという強い思いを大事にしたい」と話す。
木村氏は「わが社は戦略LP(VCなどが組成したファンドを通じて投資する有限責任)出資者へは語弊を承知の上で、『スタートアップ・ファースト、LP・セカンド』の方針を受け入れてもらっている。スタートアップ・ファーストでなければスタートアップとの信頼関係が築けず、結果的にLPの戦略連携の期待にも貢献できないから」とスタートアップ重視の運用方針を明らかにした。
開催地となった横浜市のイノベーション環境については、坂本氏が「産学官が集積しており、東京に近接しながらも独自の文化と経済圏を持つのが強味だ」と評価。木村氏は「横浜の人は横浜のポテンシャルに十分な自信を持てておらず、隣の東京へのコンプレックスもある。横浜は子供たちへ30年後に残せるイノベーションを創造できる都市という自負を持ち、東京の後追いではないエコシステムを作っていきたい」と、横浜市の特性を最大限に活用したイノベーション生態系の醸成に期待している。
ピッチでは、横浜にゆかりのあるスタートアップ3社を含め4社が登壇した。医療現場で患者管理の質と情報共有を加速する生体看視アプリケーション「iBSEN DX」を開発したCROSS SYNC、北海道産米粉を使用したヴィーガン対応、グルテンフリースイーツ専門店「アリサの北海道お菓子店chat」を運営するTREASURE IN STOMACH、治療用モノクローナル抗体医薬品を提供するMabGenesis、学習者のモチベーションに頼らず集中して学習できるeラーニングサービスを提供するHerazikaが自社のビジネスモデルを紹介。参加者は真剣な表情で聞き入っていた。
第28回 Conference of S venture Lab.は9月5日、「富山県民会館」で「VCが語る 地方におけるスタートアップ企業と成長」をテーマに富山県と共催。日本、東南アジアで最大級のシード期VC、East Venturesの金子剛士パートナーと北陸のスタートアップ育成を支援するVC、HEDの髙田諭代表パートナーが登壇する。詳細と申し込みはこちら。

文:糸永正行編集委員
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