とはいえ、映画『TELL ME ~hideと見た景色~』に注文がないわけではありません。クライマックスのライブシーンも実物の映像のほかに再現のパートがありますが、楽曲の合間に家族たちの姿を挿入したりという気持ちはわかるものの、そこは演奏シーンだけで押し通してくれた方が良かったです。
また、諸事情もあるかと思われますが、劇中ではhideが音楽を始めたところからhide with Spread Beaverまでの間に在籍した大きな二つのバンドのことはほとんど語られておらず、hideの足跡を辿るという意味では微妙な気持ちになるファンもいるかもしれません。
一方、キャスティングは正解。演者たちも健闘していると言っていいでしょう。

ミュージシャンに限らずスポーツ選手や料理人など、特殊な技能を持っている人物を中心に据える時、その特殊技能を有する人に演技をさせるか、演技が上手い人に技能を習得させるか、という選択肢があります。
最近ヒットした『ボヘミアン・ラプソディ』や『エルヴィス』は後者で、ラミ・マレック(フレディ役)やオースティン・バトラー(エルヴィス役)にトレーニングを積ませ、歌唱シーンを演じています。
一方で、本作では前者を選びました。劇中でhide with Spread Beaverを演じる面々はhide役のJUONを含め、ほとんどが現役のミュージシャンです。演技経験の少なかった彼らは自主的にワークショップなどに参加し演技を学んだと語っています。
hide with Spread Beaverのメンバーは今でも活躍している面々が多いですし、hideの楽曲の良さを伝えるためにも演奏シーンに重きを置いた方が正解だと言えるでしょう。
映画『TELL ME ~hideと見た景色~』は“あの時”を知る人々の記憶を呼び戻し、hideの死後、彼の音楽を知った人々にとっては「“あの時”なにがあったのか」を追体験することができる映画です。
いろいろな感情が出ては消える作品ゆえ、ネット上でも賛否両論ありそうです。
文:村松健太郎(映画文筆屋)/編集:M&A Online編集部
『TELL ME ~hideと見た景色~』
7月8日(金)全国公開
出演:今井翼 塚本高史 JUON 津田健次郎 細田善彦
監督:塚本連平
脚本:福田卓郎 塚本連平
原作:松本裕士「兄弟 追憶のhide」(講談社文庫刊)
原案協力:I.N.A.「君のいない世界~hideと過ごした2486日間の軌跡」(ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス刊)
配給:KADOKAWA
製作:映画「TELLME」製作委員会
©2022「TELLME」製作委員会
2022年/111分/ビスタサイズ/5.1ch
【hideオフィシャルサイト】
http://www.hide-city.com

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