東京都は8月1日、事業承継に取り組む都内中小企業を対象に、私募債を活用した資金調達の支援事業を開始した。取扱金融機関と連携し、私募債の発行時にかかる手数料を補助する。金融機関からの借り入れをせずに資金を調達しやすくすることで、円滑な世代交代を推進する狙い。
私募債は特定少数の投資家が引受先となる社債。公募債に比べて調達できる資金は少額だが、手続きが簡単で手数料などの費用も抑えられる。そのため、小規模の企業でも利用しやすい。さらに、銀行引き受けの私募債は社債の全額を銀行が購入することから、発行体(企業)は自ら投資家を募ることなく希望額を調達できる。
補助率50%、200万円まで交付
新たな施策の補助対象事業者は、原則過去3年間に都中小企業振興公社、東京商工会議所のビジネスサポートデスク、認定経営革新等支援機関、都道府県(経営承継円滑化法の認定)の支援および認定を受け、事業承継に取り組んでいることが条件。補助対象事業者には、私募債発行時に発行体が負担する私募債発行手数料の50%(上限200万円)を交付する。
補助交付申請は2024年2月29日まで
取扱金融機関は、きらぼし銀行、みずほ銀行、三井住友銀行。補助金交付申請は3行の本支店経由で、各金融機関が私募債発行に関する所定の審査を行う。申請期間は2024年2月29日までで、補助対象期間は2013年8月1日~2024年3月31日。取扱金融機関以外が発行する私募債のほか、発行済みの私募債の手数料も補助対象にならない。
事業承継に取り組む場合、分散した株式の取得や持株会社が株式を取得するための資金が必要になる可能性がある。また、後継者の信用力が十分でなければ先代まで受けられていた融資の利用が危うくなり、運転資金が不足する事態を招いてしまう恐れもある。
発行企業は自社の信用力をアピールできるメリットも
金融機関は事業承継のための融資制度を設けているが、長期的かつ安定的な資金調達ができる私募債は一定の財務基準を満たした優良企業のみが発行できるため、発行体の信用力の高さを対外的に広くアピールできる。発行に際しては保証人や担保が不要で、私募債や資産を担保に金融機関から借り入れをできるメリットもある。
文:M&A Online
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・東京都「私募債を活用した脱炭素化企業の取組支援事業」および「私募債を活用した事業承継の取組支援事業」への参画について(東京きらぼしフィナンシャルグループ)
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