数あるM&A専門書の中から、新刊を中心にM&A編集部がおすすめの1冊をピックアップ。選書の参考にしてみては?
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「アフターコロナの戦略的事業承継『M&A』」 長谷川佐喜男著、中央経済社刊
事業承継は中小企業にとって最も差し迫った問題だ。2025年には70歳を超える中小企業経営者が245万人となり、その半数は後継者未定で、廃業の危機を迎えるとされる。そうした中、突如襲来した「新型コロナ禍」。コロナ後を見据えて、事象承継問題にどう向き合うべきか、豊富な実務経験をもとにレクチャーする。

事業承継はだれにバトンタッチするかによって、親族内承継、親族外承継(会社役員、幹部社員など)、第三者承継の3つに大別される。このうち、近年注目を集めてきたのがM&Aを活用し第三者承継だ。本書はタイトルが示すように、M&A=戦略的事業承継と位置づける。
コロナ禍の状況にあって、M&Aの案件数は増加している。1件あたりの金額は少額になったが、成約率は伸びており、これまで譲渡を考えていなかった企業も検討を始めているという。
コロナ後に向けては、経営の先行き不安の顕在化で親族内承継を考え直す動きなども出て、M&Aニーズが一段と膨らむと見通す。なかでも、今回のコロナ禍は中小企業が独力で乗り越える限度を超えていることから、この状況を逆手にとってグループ化などによって企業規模の拡大を目指す成長戦略型M&Aの増加を予想する。
本書は6章で構成。事業承継に関する問題提起に続き、第3章でM&A全般について、その具体的な進め方を解説する。個別業種では、M&Aが加速している建設・不動産、病院・クリニックの事例を取り上げている。
第4章では親族内承継と親族外承継を想定し、自社株対策を中心に詳述した。行き過ぎた租税回避行為にならないための方策、納税猶予制度(特例事業承継制度)、持ち株会、種類株、信託の活用(家族信託)、公益法人の活用などについて掘り下げた。
第5~6章は本書のいわば真骨頂ともいえる部分。公認会計士の著者は事業承継に携わって35年に及ぶ。その経験をもとに、承継の心得や後継者の役割、自身がかかわった様々なコンサルティング事例について述べており、興味深い。(2020年11月発売)
文:M&A Online編集部
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