シネックの「なぜ」と論語の「仁」が重なって感じられる言葉が、論語にもあります。2つの例を見てみましょう。
士は以て弘毅(こうき)ならざるべからず。任重くして道遠し。
仁以て己(おの)が任と為(な)す。亦(また)重からずや。
死して後(のち)已(や)む。亦遠からずや(泰伯第八より)
弟子である曾子の言葉です。「仁をおのれの任務とする」ことの重さを語っています。その前に「弘毅」でなくてはならないとしています。広い心と強い意思の両方を持っていなければならない、というのです。
広い心と強い意思とは、ビジョナリーの資質そのものです。将来の展望を持つことができるのは、「なぜ」をしっかり持っている人でしょう。
広い心は愛です。が、博愛とは限りません。人それぞれに器があるので、その中での愛だと考えていいでしょう。
(次回に続く)
※『論語』の漢文、読み下し文は岩波文庫版・金谷治訳注に準拠しています。
文:ライター・行政書士 舛本哲郎
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