ビズサプリの久保です。
梅雨明けし、パリオリンピックが始まりました。熱中症警戒アラートが発令される毎日です。できるだけ涼しい室内でお過ごしください。
今回は、グローバル内部監査基準を取り上げます。
内部監査人の国際団体である内部監査人協会(IIA)は、2024年1月9日に「グローバル内部監査基準」(Global Internal Audit Standards)を公表しました。これは、2017年版の「専門職的実施の国際フレームワーク」(International Professional Practices Framework, IPPF)が大幅に改訂されたものです。この新基準は2025年1月から適用開始となります。日本語版は比較的早く7月に公表されています(全117ページ)。
そもそもIPPFが内部監査基準であることはあまり知られていなかったのかもしれませんが、今回の改訂で、グローバル内部監査基準という名称に変更されたことから、より一層普及することになると思います。
内部監査の実施方法や内容について、内部監査基準の適用を求める法律はありませんし、ソフトローであるコーポレートガバナンス・コードにも規定されていません。サステナビリティ開示に関しては「プライム市場上場会社は(中略)TCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべきである。」としています。少なくともプライム上場企業の内部監査をグローバル水準にするためには、共通の枠組みとなるグローバル内部監査基準に基づいた内部監査を実施すべきであることもコーポレートガバナス・コードにおいて規定すべきと思います。
ただ、日本でも先進的な会社は、自主的に改訂前IPPFの主要部分を内部監査規程や内部監査マニュアルに取り入れています。そのような企業はこれまでのIPPFからグローバル内部監査基準への置き換えを検討しなければなりません。
プライム上場企業はこの改訂を機に是非グローバル内部監査基準のすべてを適用してもらいたいと思います。毎年その適用状況を検討し、コンプライ・オア・エクスプレイン方式で、適用できていない条項は取締役会や監査役会に説明し、これに準拠するための計画を報告するようにすればよいと思います。
自社の内部監査規程や内部監査マニュアルに準拠しない内部監査が実施されている事例もあります。これは内部監査をチェックする仕組みがないためです。IPPFやグローバル内部監査基準では、内部監査の品質評価について毎年の内部(自己)評価と5年毎の外部評価を求めています。日本では、監査役会等が内部監査の品質評価について監視監督すべきと思います。
IPPFは内部監査人に向けた基準でしたが、グローバル内部監査基準は内部監査に対するガバナンスのあり方について規定した点が最大の特徴です。取締役会が内部監査をどのように有効に活用し機能させるかについて、取締役会と内部監査部門長の役割と責任を明確にしています。
グローバル内部監査基準は、世界各国で適用されることが前提となっているので、取締役会(board)には、取締役会と監査委員会が含まれています。日本における監査役会は法的には取締役会には含まれませんが、内部監査に関する役割としては監査委員会と同等と考えてよいと思います。
このため、たとえば「取締役会への報告」は、「取締役会及び、監査役会、監査等委員会または監査委員会への報告」と読み替えることが必要です。
欧米ではジョブ型で採用される内部監査人が多くいますが、日本では人事異動により内部監査部門に配属されることも多いと思います。このため、部門の仕事を実施することに関して「倫理観やプロフェッショナリズム」が求められる点に違和感を持つ方もおられるかもしれません。
本来、内部監査人はジョブ型の専門職であり、プロ意識を持つことは内部監査人のスキル向上や内部監査の機能向上の点でも非常に重要です。最近、プライム上場企業の中にはジョブ型で採用された内部監査人が多くなってきました。内部監査は外注(アウトソーシング)することもできるので、マンパワー不足やスキル不足を補うために積極的にアウトソーシングを利用すべきです。
「継続企業の前提に関する注記」、英語の「ゴ―イング・コンサーン(going concern)」を略したGC注記について検討していみたいと思います。
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