重要なのは「Why?」
しかし、その後の企業不祥事で第三者委員会が立ち上がると、真相究明や再発防止よりも責任回避やすでに社を去った元経営者の糾弾などに走るようになる。近年は経営陣が記者会見での厳しい質問をかわすために第三者委員会に説明責任を丸投げし、報告書が出る頃には世間の記憶が薄まっていることに期待する傾向すらあるという。
そうした「隠れ蓑」的な第三者委員会の報告書は「コンプライアンス意識の低さ」(神戸製鋼所)、「内部統制が機能していなかった」(東芝)、「企業風土」(東洋ゴム工業)という総花的な原因を羅列して「猛省の上に立って再発防止に取り組むべきである」(厚生労働省)との「精神論」で終わる。そして、その舌の根も乾かぬうちに不祥事が再発するという構図になる。
そうならないためには、どうすればいいのか。必要な視点は「Why?(なぜ)」だという。「なぜ、コンプライアンス意識は低いままだったのか?」「なぜ、内部統制が機能しなかったのか?」「なぜ、そうした企業風土が形成され、温存されたのか?」。それなしに真の問題点は見つからないし、再発防止もおぼつかない。
これは何も第三者委員会だけの話ではない。トヨタ自動車のトヨタ生産方式では「なぜ(Why?)を5回繰り返せ」が鉄則という。ベルトコンベアが異常停止した場合、「なぜ、止まったのか」「ラインを動かす歯車が破損したからだ」「なぜ?」「潤滑油が供給されなかったからだ」「なぜ?」「自動注油装置が詰まってしまったからだ」「なぜ?」「高温でパイプ内の油が固化したからだ」「なぜ?」「自動注油装置のすぐ横に塗装乾燥用ダクトが通っていたからだ」と、真の原因に迫っていく。
これが最初の「なぜ?」で終わったら、新しい歯車に交換して終わり。しばらくはベルトコンベアも動くだろうが、歯車は潤滑油切れで再び破損して同じトラブルに見舞われることになる。第三者委員会を立ち上げなくてはならなくなる前に、「なぜ?」を5回繰り返す「企業風土」を社内に植え付けるべきだろう。それは組織にとって、最高の危機管理なのだ。(2020年4月発売)
文:M&A Online編集部
「出版不況」と世間で言われる中でもM&Aをテーマにした書籍の発刊が相次いでいます。最近出版(2020年7-9月)されたM&A関連本をまとめました。
2019年1月に発行した「資本コスト」入門の改定版で、新たに海外案件の場合の資本コストの取り扱いや、外国人の目に映る株主総会、M&Aが増加している背景、株主総利回り(TSR)などを追加した。
企業経営者が認知症になった場合のリスクを詳しく解説するとともに、認知症になったあとに会社はどのような対策がとれるのか、認知症になる前にやるべきことは何なのかなどをまとめてある。
本書はこれから企業法務を担っていく法務部員や若手の弁護士らを対象に、初めて企業法務を担当する際、企業法務の役割は何か、コンプライアンスリスク管理は何をすればよいのか-といった観点でまとめられている。
M&Aや事業承継をテーマにした書籍の発刊が相次いでいます。2020年4-6月に出版されたM&A関連本をリストアップしました。
病医院の引き継ぎ方や終わらせ方が気になりだした医師向けに、病医院の相続にかかる税金や病医院のM&A、廃業、解散などについて具体的な事例を盛り込みながら解説した。
2019年12月に成立した「改正会社法」(令和元年改正)に対応した最新版の定番入門書。会社法全体の概要を図解を使いながら、各項目(全128)につき2ページ完結で、簡潔にポイントをまとめた。
著者は金融機関の勉強会やセミナーの講師を引き受け、税などの取り扱いや医療承継支援の具体例などを発信してきた。この講義録をベースに金融機関向けの医業承継入門書としてまとめられたのが本書。
M&AとPMIを用いた中小企業の治療法や再建手法をまとめた。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、業績悪化に直面する企業が相次いでいる今、多くの企業の参考になりそうだ。
アクティビストの登場、M&A、取締役間の内紛、不祥事発覚…。こうした「特殊状況下」における取締役会・株主総会の運営ではどういった実務対応が求められるのか。大江橋法律事務所の4人の弁護士が執筆した。
今年に入ってもM&Aや事業承継をテーマにした書籍の発刊が相次いでいます。2020年1-3月に出版されたM&A関連本をまとめました。
ブリッツスケールとは爆発的な成長という意味。日本版ブリッツスケール企業の代表例としてM&A仲介業の日本M&Aセンターを取り上げ、ブリッツスケールを支える仕組みなどを紹介している。