経済安全保障推進法のうち「サプライチェーン(供給網)の強化」と「先端技術の研究開発」が8月1日に施行された。併せて従来から取り組んできた安全保障貿易管理制度による輸出規制も強化されるだろう。しかし先走りが過ぎると、思わぬ「抜け駆け」を食らうことになりかねない。それも信頼関係のある「同盟国」によって、だ。
残る「基幹インフラサービスの安定確保」と「特許出願の非公開」についても、政府は「スピード感を持ってやっていく」(小林鷹之前経済安全保障大臣)方針だ。新たに安全保障分野で強い影響力を持つ高市早苗経済安全保障大臣が就任し、経済安全保障の取り組みが加速するのは間違いない。
経済安全保障が急がれる背景には、ロシアによるウクライナ侵攻や中国による台湾への圧力強化といった軍事的な紛争から自国経済を守る必要性が強く認識されたことがある。
さらには新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックでサプライチェーン(供給網)が機能不全に陥り、生産に多大な支障が生じて海外依存の見直しが迫られていることも課題として浮上した。
日本の場合、経済安全保障の対象国として強く意識されているのが中国だ。かつては共産圏の盟主だった旧ソ連への軍事転用が可能な製品の輸出規制が重視されていた。現在では中国の経済発展自体が経済安全保障上の脅威と位置づけられ、旧ソ連に比べると輸出規制の対象は広がっている。
経済産業省は8月4日の産業構造審議会の総会で、2023年度予算概算要求の骨格となる「経済産業政策の重点」案を示した。主要施策には、中小企業・小規模事業者の事業承継やM&Aの促進などを盛り込んだ。
ロシアに進出している国内上場企業168社(2022年2月時点)のうち22%にあたる37社が2022年3月15日までにロシア事業の停止や制限などを行っていることが分かった。