そのため規制が行き過ぎると、日本企業の輸出ビジネスの足を引っ張ることになる。かつての日本政府は、経済安全保障政策を真面目にやりすぎた。対共産圏輸出統制委員会(COCOM)では日本が共産主義国への軍事技術・戦略物資の輸出規制を厳しく守ってきた半面、欧米企業が抜け駆けをしてきた経緯がある。
現在、バイデン政権の米国と習近平体制の中国は、軍事上は台湾を巡って激しく対立しており、戦略的な製品については厳しい輸出規制をかけているかのように見える。しかし、ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、実際には対中ハイテク輸出の審査をする商務省が、ほぼ全ての申請を承認しており、重要技術の輸出が増加している。
米商務省は輸出許可が必要な対中ハイテク輸出申請のうち、実に94%に当たる2652件を承認したという。中には半導体や航空宇宙部品、人工知能(AI)といった軍事転用可能な製品や技術も含まれる。要するに米国の経済安全保障の障壁は「ザル」なのだ。
欧州諸国も自国企業のビジネスチャンスを台無しにしてまで、経済安全保障による厳しい輸出規制に踏み切ることはないだろう。官主導の規制が厳格に適用される日本では、企業から「行き過ぎた輸出規制がビジネスの妨げになりかねない」と懸念する声も出ている。
対中「タカ派」として知られる高市新大臣の下で、中国へのハイテク製品輸出に厳しい規制が設けられた場合、日本企業の「お得意先」を欧米企業の「抜け駆け」で奪われることになりかねない。日本政府は経済安全保障で決して先走ることなく、慎重に進めて行くべきだろう。
文:M&A Online編集部
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