ひょっとしたら、中小企業の事業承継、M&Aも同じかもしれません。
日本の企業のいま抱えている問題のひとつに「後継者不在」があると言われ、「後継者不在の事業者が127万社(人)」(中小企業庁)といった数字も聞かれます。この問題の解決策としてM&Aがクローズアップされています。
ところが、実際にM&Aによる事業承継に取り組んだ企業からは、思いがけず時間がかかってしまうことを指摘する声を耳にします。「もっと早く取り組むべきだった」と。また、「検討を本格的にはじめる時期で迷った」といった声もあります。
こうした躊躇や逡巡が、どれほどの損失になるか。冷静に考えればわかることではないでしょうか。
・後継者がいない→どうしよう
ここで留まっている限り解決はないのです。
・後継者がいない→解決法を探ろう→M&Aが可能か調べてみよう
こうなっていかなければ、いざ、タイムリミットがはっきり見えてから慌てて解決策を探すような事態は避けられません。そして「もっと早く検討しておくべきだった」と感じることになるのです。
これは、『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー著)の指摘していることにも通じています。コヴィー博士は「第Ⅱ領域」(緊急ではないが重要)の問題に多くの人が時間を十分に割いていないことを解き明かしています。私たちは緊急性があるというだけで重要ではないこと(第Ⅲ領域)に多くの時間を費やしているのです。
それはまさに錯慮に通じる考え方です。
では、どうすれば錯慮を避けることができるのでしょう。
心の邪正(じゃせい)、気の強弱は、筆画之を掩(おお)うこと能(あた)わず。(『言志録』24 人柄と書画)
この言葉、現代語に勝手に解釈すれば、こうなります。
●自分の状態を知る
心が乱れているのか、正常でいるのか、気持ちを強く持っているのか、弱気になっているのか。そういう自分の状態は、書いた文字にはっきり現れる。

そう考えた一斎は、「毎日、いくつか字を書いてみて、そこに現れているものを見て、自分なりに考えてみる」ことを推奨していました。
江戸時代には、自分の心のありようを客観的に確認する方法として「書画」と向き合うことがふさわしかったのです。そこで乱れを感じたら、その原因を探るきっかけとなります。
事業承継に不安がある企業家は、一度、「後継者がいない」「後継者不在」といった言葉を文字に表現してみてください。その文字をじっと見つめれば、本当の不安は何かが見えてくるはずです。「後継者がいない」と思っている自分自身はもちろん、その不安を抱く企業家の下で働く社員、経営者仲間、関係者などの不安も大きいことも…。そして、その不安・心配をいま直面している課題としてとらえることができれば、先送りしてはいけないことだと認識もできるでしょう。課題と認識できずに先送りすれば、それが「錯慮」であると認識できるはずです。
書画(書道や絵画)に限らず、自分の状態を知るための方法を日課として持っておくことは有効です。日記を書く、ゲームをやる、家族と話すといったこと、いわば“ルーチン”です。そうしたルーチンから自分の状態を知り、「錯慮」に陥らずにいち早く課題に取り組めるようにしたいものです。
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佐藤一斎(1772年~1859年) 江戸に生まれた美濃国岩村藩の儒学者。林羅山にはじまる日本の儒学者・朱子学者の家系である林家の養子となった藩主の三男・林述斎が、昌平坂学問所の幕府直轄を推し進めていたことから21歳のとき昌平坂学問所に入門。33歳で昌平坂学問所の塾長に。 昌平坂学問所とは、林羅山の私塾を発展させたいわば大学に相当するもので、幕府直轄となってからは直参だけではなく藩士・郷士・浪人も学ぶことが許されるようになった。現在は「湯島聖堂」として残っている(建物は第二次大戦で焼失し、戦後に再建された)。なお、一斎の影響を受けた吉田松陰などからは、その西洋嫌いを批判されたりもしている。 幕末から明治にかけて、多くの人たちが新しい価値観、新しい世の中に向けてそれぞれに考え、行動しなくてはならなかったが、政治的な立場を問わず、『言志四録』を生き方の指針として活用していた。それは当然、『論語』を重視した渋沢栄一はもちろん、明治以降の経済人にも引き継がれた。 一斎の『重職心得箇条』は、岩村藩(現在の岐阜県恵那市)の重役としての心得を記し、これも多くの経済人にとって馴染みのあるもの。安岡正篤の講義録(「佐藤一斎『重職心得箇条』を読む」)もよく知られている。 |
※漢文、読み下し文の引用、番号と見出しは『言志四録』(全四巻、講談社学術文庫、川上正光訳注)に準拠しています。
文:舛本哲郎(ライター・行政書士)
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