TBSホールディングスは2020年10月、「東京放送ホールディングス」から現社名に改めた。これに合わせ、「コンテンツグループ」への転換を宣言した。放送事業を維持・拡大しつつ、さまざまなコンテンツ領域を取り込みながら、放送以外で事業のすそ野を広げ、着実な成長を目指そうというものだ。
具体的な方向性を示したのが2021年5月に発表した長期ビジョン「TBSグループ VISION2030」。それまで「6:4」だった放送事業(CM枠による放送収入が主体)と放送事業以外の売上高比率を2030年3月期に「4:6」にする目標を盛り込んだ。つまり、放送事業以外の比率を60%に高め、放送事業と逆転させる。ちなみに、2030年3月期時点の総売上高は5500億円を想定する。
足元の業績はどうか。2023年3月期は売上高2.8増の3681億円、営業利益2.1%増の207億円、最終利益9.9%増の351億円。売上高、営業利益は2009年の持ち株会社制への移行後の最高を記録した。売上高をみると、放送事業54%、放送事業以外46%の構成になっている。
中期経営3カ年計画の最終年度にあたる2024年3月期予想は売上高5.9%増の3900億円、営業利益25.1%増の260億円、最終利益30.4%減の245億円。放送以外の事業の売上高比率については47.5%を見込む。
◎TBSホールディングスの業績推移(単位は億円)
| 2020/3期 | 21/3期 | 22/3期 | 23年/3期 | 24/3期予想 | |
| 売上高 | 3567 | 3256 | 3582 | 3681 | 3900 |
| 営業利益 | 131 | 108 | 203 | 207 | 260 |
| 最終利益 | 301 | 280 | 320 | 351 | 245 |
現行中計はポストコロナを見据え、成長への種まきをテーマに掲げる。期間中、約1400億円の成長投資枠を設定。2年を終えた時点でおよそ730億円を実行した。
目玉の一つが日本発のコンテンツを海外配信に特化した戦略子会社THE SEVEN(東京都港区)の設立だ。300億円規模の予算を用意し、5年以内に世界的ヒット作を2~3本生み出すことを目標とする。横浜市内の緑山スタジオには海外配信専用の新スタジオを建設した。
また、バレエダンサーの熊川哲也氏が率いるK‐BALLET(東京都文京区)に32%余りを出資し、同社を持ち分法適用関連会社とした。アジアを中心とした海外バレエ公演と、スクール事業を両輪とし、新たなビジネス開発を進める。
ビデオアドソリューション(動画広告)を手がける新会社VOXX(東京都港区)を立ち上げたほか、既存のアニメ制作子会社のSeven Arcs(東京都練馬区)に対しては25億円の増資を実施し、体制を強化した。
そして中計最終年度を迎え、繰り出したのが300億円近くを投じた、やる気スイッチグループの大型買収だ。知育・教育事業はむろん、各方面にまいた種を新たな収益の柱にどう育てていくのか、TBSグループの力量が試されることになる。
◎TBSホールディングスの沿革
| 年 | 主な出来事 |
| 1951 | 関東初の民間放送局「ラジオ東京」として設立 |
| 1960 | テレビ・カラー本放送を開始 |
| 〃 | 東証1部に上場(2022年4月、東証プライムに移行) |
| 〃 | 東京放送に社名変更 |
| 1981 | 緑山スタジオを横浜市青葉区に完成 |
| 2002 | プロ野球の横浜ベイスターズを子会社化 |
| 〃 | CS「TBSチェンネル」放送開始 |
| 2003 | 地上デジタル放送開始 |
| 2005 | 筆頭株主の楽天(現楽天グループ)が東京放送に対する経営統合提案を撤回 |
| 2008 | スタイリングライフ・ホールディングスを子会社化 |
| 2009 | 放送持ち株会社への移行に伴い、東京放送ホールディングスに社名変更 |
| 2011 | 横浜ベイスターズをDeNAに譲渡 |
| 2013 | ベンチャー投資子会社のTBSイノベーション・パートナーズを設立 |
| 2014 | 技術制作会社の東通(現TBSアクト)を子会社化 |
| 2015 | BS‐TBSを完全子会社化 |
| 2020 | TBSホールディングスに社名変更 |
| 2023 | 6月、総合教育事業のやる気スイッチグループホールディングスを子会社化 |
文:M&A Online
靴販売大手のチヨダが14年ぶりにM&Aに踏み切る。同社は現在手がけていない高額紳士靴の領域を埋めるため同分野を主力とするトモエ商事(東京都台東区)を2023年8月に子会社化する。
セコムはM&Aを武器に海外売上高比率を現在の2倍の10%に引き上げる。2023年5月に公表した中期経営計画「ロードマップ2027」で、海外事業強化の方策としてM&Aに力を注ぐ姿勢を鮮明にしたのだ。
物流業界最大手の日本通運の持ち株会社であるNIPPON EXPRESSホールディングスが、中期経営計画の目標として掲げる「非連続な成長」の実現に向け一歩踏み出した。
焼き肉チェーン店のあみやき亭がコロナ禍前の状態に戻る見通しとなった。同社は2024年3月期に売上高346億円(前年度比21.2%増)、営業利益18億円(同4.26倍)を見込む。
トリドールホールディングスは英国の投資ファンドと共同で、ピザ店やギリシャ料理店を運営する英国のFulham Shore PlcをTOB(株式公開買い付け)で子会社化する。
セブン&アイ・ホールディングスが、総合小売業を目指す方針を転換し、国内外のコンビニエンスストア事業の強化にアクセルを踏み込んでいる。セブン&アイはどのような将来像を描いているのだろうか。
積極的なM&Aによる成長戦略を描いているバリューゴルフが、活動を本格化する環境が整ってきた。コロナ禍の影響で落ち込んだ業績が回復傾向にあるためで、久方ぶりのM&Aはそう先ではなさそうだ。
列車の発着時間などを検索できる「乗換案内」を運営する駅探が、M&Aで事業領域を拡げている。2024年3月期の売上高は、2年間で倍増という強気の計画。M&Aが果たす役割は大きいそうだ。
市光工業が事業基盤の再構築にアクセルを踏み込んでいる。自動車用ランプ・ミラーの専門メーカーとして地歩を築いてきた同社だが、2枚看板のうち、ミラー事業を売却することを決断した。